万博遺跡 アリ地獄 湯煙紀行。家族にとって、そんな旅に出掛けている私の行動は紀行ではなく、奇行なのだそうだ。
別府駅前。新鮮な地魚を食べさせてくれそうで...旨い地酒を飲ませてくれそうで...寂しき旅人のとりとめの無い話を聴いてくれそうな和服の似合う女将の居そうな...
「今日はもう店じまい。お客さん 私も一杯頂いていいかしら?今夜は、ゆっくりしていって頂戴。」のれんを取り込んだ店内。♪流す涙で 割る酒はだました男の 味がする ♪ 静かな時が流れる。
そんな店のカウンターで、つまみを食べながらチビリチビリと酒を呑み「ところでママ こんな建物見た事ない?」とビルマ館の写真を見せたかった訳では無い。「あらぁ これは確か...。」そんな期待をした訳でも無い。♪呼んでとどかぬ 人の名を こぼれた酒と 指で書く 海に涙の ああ愚痴ばかり♪
人があまり居なそうで、ゆっくりビールが飲めて、ひとりで入れそうで、話かけられそうにない...。絵もない 花もない 歌もない 飾る言葉も 洒落もない そんな居酒屋。出来れば♪みぃなとぉぉぉ 別府ぅ 長崎ぃ枕崎 と流れていそうな店をさがしていた。
此処ならば...と開けた和風の扉の向こうには...確かに客は一組しか居なかった。カウンターのみの店内。つまみも期待出来そうだ。しかし....BGMには静かにラテンの音楽が流れていた。静かにラテン。うるさくも無く、静かでも無く。琴で奏でるポップミュージックの感覚。とりあえずでも無く必然だけど「とりあえず ビール」と注文する。ビールと共に出てきた皿には 何と万博マーク。こんな処で会えるなんて...。