鉄鋼館スペースシアター前から太陽の塔を望む。このガラス越しの太陽の塔も、今まで見る事の出来なかった景色。
これまで鉄鋼館の前、厳密に言えばスペースシアターの入口が見える場所に来ては閉ざされた建物の扉のガラス越しにスペースシアターの方向を覗き込んでいたものだ。
ガラスとスペースシアター入口との距離約15メートル位。その先に閉ざされた空間への扉があった。
ある時は顔をくっつけ、ある時はカメラをくっつけ、またある時はムービーでズームして扉の内側の様子を覗ったものだ。あと数歩で到達する距離を隔てるガラス。その距離感はガラスの厚みの数倍もあった。
どうしても縮まらない距離。手を足を伸ばせば届きそうなその先にある幻の空間に念を送り続けた。「少しでも近くに..」。この念力がガラスに、より強く顔をカメラをムービーを押し付けさせた。嗚呼..万博”祈念”公園。
2010年、3月。念は通じた。”案ずるより産むが易し”を”念づれば生むが安し”だと思っていた。今私は押し付けた顔の後が残っているかも知れないガラスの内側から太陽の塔を眺めている。